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NPO・行政機関訪問

●イタリア婚前・婚姻相談員連合(ASSOCIAZIONE NATIONALEFAMIGLIEADOTTIVE)
里親制度の活用と児童の虐待


藤枝 輝久/新井 由美

ANFAについて

 「すべての子どもたちが家族を持つ権利がある」この概念は全世界共通のテーマではないかと思います。ANFAも、子ども保護、権利のためにできた連合で、この言葉を目的の一つとして挙げています。そのために里親制度の普及にも努めていますが、イタリアでは受け入れてくれる家庭が少なく、準備が滞っているのが現状です。とくに、ハンディキャップのある子、月齢の大きい子、病気の子に対しての縁組は困難です。ただ、そんな中でも養子縁組を経験した人もいるので、受け入れる立場の家庭に対しての助言を行っています。
 イタリアでは、養子を受け入れた場合、法律で養子だということをその子どもに伝えなければならない規定があります。そのため、助言の中には、その子どもに対して養子ということをどう話したらいいのか、また、両親とはどうあるべきかという話も含まれています。"養子"という事実を子どもたち、そして里親として、どう捉えるのかはわかりませんが、そうした壁を乗り越えてこそ、新たなる絆、そして本当の親子へと結びついていくのではないかと思いました。

虐待について

 虐待は、日本でもすでに問題となっている課題の一つです。そうした中で、虐待に精通した人、または専門家が必要ですが、イタリアでは、私立で虐待を研究、治療している所があります。研究治療センターといって、虐待を受けた子どもが生活できる場があり、その間、虐待した親に対して、精神科医による治療、導きも受けることができます。治療が長引いたり両親の状態が重大な場合は、その子どもたちを養子に出す方向にもって行きます。
 イタリアでは、法律で2006年には孤児院(養護施設)をすべて閉鎖する方向へ検討されているようです。そのために、ANFAも最大の努力、戦いを始めているとのことでした。法律というと堅苦しいイメージがありますが、閉鎖するのが目的ではなく、すばらしい環境の中で育つということに目的を置いており、その結果が閉鎖への動機となっているそうです。そのためにも、虐待を受けた子が養子へいく場合の対応の仕方など、内面的な部分にもぜひ手が伸びていければと思いました。

青電話について

 青電話とは、子どものための電話相談事業で、子どもの相談に対して心理学、教育学を受けた専門員が相談に当たっています(24時間対応、子どもは電話料無料、大人有料)。ただ、電話で話は聞くものの、まだ介入までには至っておらず、青電話からの虐待の通報は、ほんの一部とのことですが、イタリアは、家庭裁判所と社会福祉事務局との連係が上手くいっており、まだ始まったばかりの日本としては、少子化が叫ばれる中、増える虐待について見習うことも多いように思いました。

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