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老人福祉関係

●老人福祉施設(Casa di Riposo Comunal)
個室化の現状を知る


袖澗 三枝子/蓮池 年民

 10月8日、私たち24名はローマ市管轄の老人福祉施設を訪問した。気持ちよい朝の空気と緑に囲まれた1900uの敷地内に400名の利用があった建物、裏手には広大な公園と、大変恵まれた環境にある。最初にローマ市社会局のミラノ女史より社会問題への対応についてヒアリングを受け、オウシ・デ・ガスパレス女史(ローマ全体の老人福祉施設6カ所の責任者)からは、施設と福祉の説明を受け、3つの部署からなる施設を視察した。

1.入所施設

 以前は400名定員があったレジデンスいわゆる老人ホームが、法改正により改造されて現在は80名の定員となっている。改造により全室個室となり、部屋の家具もこれまでどの部屋も同じだったのがそれぞれ部屋によって違うものにし、より一層レジデンス、住宅としての感じを強めている。

2.通所施設

 地域の高齢者が通うデイケアセンターは毎日9時から17時まで実施し、スポーツ活動や絵を書いたり園芸などの文化活動をしている。自分で通う人もいれば施設のマイクロバスで送迎される人もいる。

3.短期入所施設

 アルツハイマーセンターは、ローマでは5カ所開設される予定だが、1カ月前にオープンしたここは2カ所目である(建物ができあがったばかりで、まだ利用は始まっていない)。
 半居住(ショート・ミドルステイ)という形で、デイケアセンターのように高齢者たちが通ってくる。福祉面と医療面を総合的にケアしているが、家族の介護負担軽減と、老人に直接刺激を与えるという2つの目的がある。また20日寝泊りができる安心のベットという制度があって、ここでも実施している。

4.考 察

 海外研修セミナー事前研修会で、「今イタリアでは、最初は医療関係者や裁判所などの反対があるが、精神病院はほとんど解体され、入院していた人々は地域のグループホームや自宅へと戻って生活している。1000人を超す入院患者を全員退院させ、地域で暮らしてもらい、地域ケアで生活を支え、今では、初診と緊急だけ受けている」(愛知)という報告がありました。
 私はこのベースの上に老人福祉問題の解決のヒントがあると感じました。400名定員が80名定員へと変化し、部屋が個室になり、家具も一律だったものが、部屋によって違う、職員もワーカーは協同組合の入札で行なっている等々、今回のイタリアの現状を視察して、これからの日本の福祉も国際化の嵐にもまれ、社会的援助へと成長していくと感じました。

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