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障害福祉関係

Hornsby Challenge Association 知的障害者の社会自立を目指し
中西正清/福地 光


 ホーンズビー・チャレンジ・ファンデーション・リミティッド(以下HC)は、シドニー市内からオペラハウス、ベイブリッジ、パラリンピック会場を通り北西へ車で45分の都市圏にあります。
1 施設の概要
 HCは、知的障害を持つ成人に対する職業紹介、地域生活支援サポート、サービス・コーデイネートを行う非営利組織です。
 コーディネーターのウオーレン氏ほか職員15人、生活支援パート職員30人と本人、家族、友達、支援の仕事に関心を持つ人などHCのメンバーが、主に340万ドル(1ドル約60円)の政府補助金(77%が人件費)を受け運営しております。
2 目標
 (1)利用者の目標
 地域社会の一員として生活し、働くことにより、地域での存在感を見出し、行動を継続する力を身につける。
 地域住民とのさまざまな形でのフレンドシップによりネットワークを広げ、地域社会で尊重される存在と成ること。
 (2)HCの目標
 多様な情報を提供、自由な選択ができることを保障、サービスを受ける人ひとりひとりの立場を尊重し、利用者、家族、政府、地域社会へ責任あるサービスを提供する。
3 活動の状況
 サービスの種類は、在宅での生活支援、地域社会での支援、そして就職、職場での支援のための多くのプログラムがあり、知的障害者の自立を目指しております。
 事務所を訪問するとコーディネーターのウオーレン氏が出迎えてくださり、障害者の作業訓練を受け入れているオモチャ部品加工工場と、家具製造工場を案内してくださいました。いずれもHCと契約している受入れ企業です。オモチャ部品加工工場では、ダウン症の女性がコーディネーターと工場の一角の提供を受け適応訓練を、家具製造工場では、軽度の3人が、グループでレジャー用椅子のマットレザー張りの作業を行っておりました。
 企業とは、HCがサポートコーディネーターと障害者をセットで雇用契約し、作業に責任を持つ。HCは、コーディネーターの勤務評価に基づき、生産性に応じた給与を支払い、職人として自立に向けた訓練が行われておりました。障害者は高い評価と賃金を目指し、真剣に取り組んでおり、自信に満ちた姿勢が印象的でした。
 ウオーレン氏は、障害者を受け入れているこれらの企業には、政府から貢献賞が与えられ、社会からも高く評価され、企業のイメージアップにも繋がることから協力企業も多く、障害者雇用に弾みがついていると説明されました。  障害者がコーディネーターのアドバイスを受けながら、自立に向け、たくましく成長している様子が見られ、効果的な取組みを感じました。
 オーストラリアは、230年昔の1770年発見され、イギリス領となり1931年独立し約70年になりました。面積は日本の20倍、人口は1/8で75%が都市部に住む都市集中型です。
 歴史が浅く、都市集中型の居住、戸籍法、住民登録制度がない。儒教、仏教のアジアと異なる扶養意識、自由、自助努力を尊重する国民性などからサービスの開発と革新がスムーズに受け入れられ、非常な勢いで改革が進められている感触を受けました。