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【中国・四国ブロック】

第23回ブロックセミナーを1月24日(木)〜25日(金)に開催

山口県
●山口県福祉施設士会による第23回中国・四国ブロックセミナーが1月24日(木)〜25日(金)に開催されました。

第23回 中国・四国ブロックセミナー 山口大会報告

 福祉を取り巻く環境は大きく変化し、社会福祉施設においては透明性・自主性の高い経営体制の確立とともに、地域社会のさまざまなニーズに応え、施設を活かした地域社会の活性化を図ることが求められています。
 そこで、社会福祉施設の経営および、運営に携わる施設長の役割・使命について改めて見つめ直し、今後の地域社会における社会福祉施設のあり方、課題について研究協議することを目的に、遠くは山形県から、また長崎県からもご参加をいただき、総勢73名で終始和やかな雰囲気の中で進められました。

 1日目の基調報告では、日本福祉施設士会の森田会長から「施設長のミッション」と題してご講演いただきました。
 「今日は変動の時代であると共に、危機の時代であり、競争原理に基づく市場経済と民主主義の原理が善悪は別として支配的になっている。また、世界は多極化の道をたどっている。
 その中にあって環境・人口・エネルギー・食糧・核などの問題、そして戦争と平和という人類永遠の課題が我々と我々の子孫に重くのしかかっている」と前置きされ、「社会福祉や社会保障は聖域ではなくなり、財政のプライマリーバランス回復の取り組みが進められる一方で、貧困問題の再浮上、地域間格差の拡大等により尊厳ある生活が脅かされるに至っている。
 また、社会サービスの分野においては、人材不足、人手不足によるサービスの質と量の低下が始まり、供給者の財務体質の弱体化による経営の危機が迫りつつあり、生活の基盤を支えるセーフティネット構築の不十分さが福祉とサービスの提供における不平等を生みつつある」とされ、福祉の心が果たして政治、行政、現場に活きているのかを問いつつ、いろいろな方向、角度からご提言をいただきましたが、紙面の都合上、その重点項目のみ例記させていただきます。

T 日本福祉施設士会の存立目的について
U 社会福祉法人の存続と強化の必要性
1.経営・管理力の向上(競争に耐える体質の強化)
2.社会福祉法人の施設の適正な経営規模の確保
3.優れた公益性の確保による利用者中心主義の貫徹―国民の信用と信頼の確保
4.非営利性の堅持と税制上および財政上の優遇措置の確保
5.サービスや福祉財の再生産の可能性、安定的供給主体としての存立の確保
6.コンプライアンス(法令遵守)と主体的な倫理性の確保(責任倫理)
7.民間としての自立性、自主性、開拓性の保持と展開
8.制度政策上に反映されていない社会福祉分野の開拓と実践への着手

V 本会のあり方と方向性
1.会員数の増強について
2.三つの千の達成
a全国のQCサークル数一千を目指す
b本会8ブロックのセミナーの年間参加者数一千名を達成する
c中央開催の全セミナーの出席者数が合計一千を越すこと
加えて全国の都道府県施設士会のセミナーおよび総会出席者総数についても一千名を越えることを目指したい(各県平均20名)
3.福祉における人材確保問題との取組みに関する提言と研究
4.地域福祉の推進者であること

 その後、行われた講演は「心を癒す、山口の方言と由来」と題して、山口県防府市総務部市政なんでも相談課の森川信夫広報室長(山口県方言研究家)から時間の都合上「面白くて為になる山口弁四方山話」を学問的に、「身体関連表現と挨拶表現」を次第に失われつつある伝統的な方言として大変興味深くお話されました。
 学問的な話として、例えば、山口弁では、「ぶすっとしてふてくされる。不平不満があってすねる。不機嫌になってふくれ面をする」ことを「はぶてる」と言います。
 江戸時代の初頭、イエズス会の宣教師たちが日本語習得のために刊行した「日葡辞書」(1603年刊・1604年補遺)には「Fabute,ru,eta」とローマ字表記でかかげられた見出し語に、「怒った様子を見せる、または、不機嫌な顔つきをする」というポルトガル語による語意説明が付してあります。また、「傾城仕送大臣」(1703年刊)という浮世草子には「はぶてがほ(貌)」という言葉も見えており、これらの文献が成立した当時「はぶてる」は中央語として通行していたことが分かります。方言化した「はぶてる」は現在、山口県のほか広島県や愛媛県、島根県石見地方、長崎県の対馬などでも使われています。
 山口県では「はぶてる」の連用形が名詞化しその人を意味する「はぶて」や「はぶてがお(顔)」「はぶてづら(面)」「はぶておんな(女)」「はぶてごと(言)」などの方言も、中年層以上を中心によく使用されています。
 山口にいて「はぶてる」の語源を学術的に聞いたのは初めてでした。1時間の講演を終り、後にもっと聞きたいという想いを残したのは私一人ではなかったと思っております。

 16:00〜17:30にかけて「地域とともに歩む施設運営とは〜我が施設におけるビッグニュース〜」と題し、コーディネーターに森田会長を迎え、シンポジストに老人福祉施設から長浜和光園 錦織宣之施設長、児童福祉施設からカナン保育園 川口義道施設長、障害者福祉施設からあそかの園授産部 河内淳慈施設長を迎え、それぞれ人間味ある話や所信、理想像をお聞きし、改めて各施設長の仕事に対する前向きさに見習うことが多々ありました。

 2日目は視察研修として、サビエル記念聖堂、瑠璃光寺五重塔、常栄寺雪舟庭を見学、ボランティアガイドさんのご協力もあり歴史と文化の町山口を手作り観光でご案内、大内文化の名残をしみじみ味わうことができました。
以上セミナーの概略を記し、報告にかえさせていただきます。

 最後に、次回開催県である島根県 錦織宣之会長より挨拶があり、平成20年9月16、17日出雲の地に一同再会を期し、有意義で実のある大会を終えました。

 今回セミナーを開催するにあたり、まずブロック各県福祉施設士会会長会議を開催、各県福祉施設士会の現状や活動状況、今後の中国・四国ブロックセミナーのあり方など、後藤忠啓ブロック長の進行により屈託のない意見交換を行いました。
 各県の状況を考慮し、協力し合いながらブロックの活動をより活発に、そして会員間の交流を図っていくことに決意もあらたにブロックの結束を固めた会となりました。
 各県会長方の思いをひとつに開会した本セミナーは、参加者の皆様をはじめブロック各県のご協力のおかげでつぎに繋がる有意義なセミナーとなりました。