都道府県福祉施設士会活動報告
近畿ブロックセミナー(京都大会)開催報告
京都府福祉施設士会は、平成25年10月22日(火)〜23日(水)に京都府社会福祉施設協議会、京都市社会福祉施設連絡協議会の後援を得て、リーガロイヤルホテル京都で第24回近畿ブロックセミナーを開催した。
初日、森田弘道会長が「福祉施設士行動原則に基づく施設経営の実現にむけて」をテーマに基調報告を行った。その後、京都府福祉施設士会発起人で福祉施設長専門講座第1期修了生でもある(社福)健光園理事長 小國英夫氏が「いま社会福祉法人に求められていること」、続いて、厚生労働省大臣官房審議官 鈴木俊彦氏が「社会保障制度改革の現状と展望」について講演を行った。
2日目は、京都地域包括ケア推進機構理事長 井端泰彦氏が、「京都式地域包括ケア」の取り組みについて説明した後、宮川町芸妓組合組合長 ふく葉氏が「京のもてなし 花街の文化」と題し、舞子ふく真莉さんの踊りを交えて講演を行った。
社会福祉法人のあり方が問われている中で、地域福祉向上と福祉サービス充実のための「もてなし」について、とても参考になる内容であったと実感している。
(文責:京都府福祉施設士会 会長 藤原 義章)
東北ブロックセミナー(秋田大会)開催報告
秋田県福祉施設士会は、平成25年11月6日(水)〜7日(木)に秋田キャッスルホテル(秋田市)で東北ブロックセミナー(秋田大会)を開催した。秋田県福祉施設士の全会員(15名)がそれぞれの役割を果たし、心配されたセミナー参加者数も予定の80名を超えて89名(会員40名、非会員49名)となり、地元会員一同大いに喜ぶ結果となった。ちなみに、前回の秋田大会(6年前)と比較した参加者数は、秋田県会員が10名から15名に増えるとともに、秋田県を除く東北5県の参加会員数も29名から40名へと大きく増加した。その要因は、本セミナーが「福祉施設士行動原則」をテーマにした会員の実践発表を重視したことにあると考えており、今後の東北ブロックセミナー参加数は、大会テーマによって大きく左右されると考えられる。
初日は、森田会長が、「福祉施設士行動原則〜6つの姿勢と12の行動〜」をテーマに基調報告を行った。社会保障・社会福祉制度改革、地方分権改革、規制改革など社会福祉を取り巻く変化を7項目に分けて説明し、福祉施設士の目指すべき方向、日本福祉施設士会が目指す福祉施設のあり方として、「行動原則」に基づく実践を重ねることによって信頼を積み上げていこう、という内容であった。その後、本セミナーのメインテーマである「福祉施設士行動原則」に基づく実践報告を行った。
東北ブロックは6県から構成されていることから、「6つの姿勢」を各県毎に割り振り、各県福祉施設士会会長を通じて発表者の選出を行った。発表者は各県を代表する会員が選ばれ、その結果としてすばらしい報告内容になったと感じている。
青森県は「利用者への姿勢」をテーマに、ミューズ保育園井ノ口幸子園長が報告を行った。多種多様な社会体験を通して、「人間は小さいときに手厚いケアを行う必要がある」と指摘し、基本理念のもとに徹底した保育実践を報告した。岩手県は「社会への姿勢」をテーマに、しいの木会吉川達男理事長が報告した。施設の公益性が「見える化」されていることが重要であると指摘し、そのために職員研修に力を入れており(3年間で70万→450万円の予算確保)、法人理念についても積極的に原点を探り「見える化」に向かって励んでいると説明した。秋田県は「組織への姿勢」について、「個別ケアの充実からおむつゼロへの歩み」をテーマに特養ホーム海光苑・岡本丈義施設長が事例を報告した。80歳の入居者の笑顔が素敵であった。おむつゼロへの過程で、介護度4、介護度5の入居者が、平均3.88まで下がってきたという喜ばしい報告があり、組織力の強さを感じた。山形県は「職員への姿勢」をテーマに、(福)愛泉会井上博常務理事が報告した。職員の自己評価の第一項目として、基本理念の遵守をあげ、対人援助に関する専門職70名のうち30名以上が国家資格を取得しているという事実に驚いた。おそらく、山形県市内に点在されている18カ所の事業展開を支えているのは、国家資格保持者がコア職員となっていると思われるが、その中で「障害者乗馬と馬まつり」には、1万人もの来場者を数えているという。障害者アートとギャラリー開設もすばらしかった。宮城県は「地域への姿勢」をテーマに、特養ホーム国見苑庄司英子施設長が、仙台市内の地域柄、実習生とボランティアとの協働、ワークショップを中心とした事業展開(夢見の杜・月1回福祉講座開催)について説明した。また、施設が町内会員(町内会費納入)となって信頼度を増している。今後、更には、地域との防災協定、低所得者等地域のセーフティネットとしての役割など、地域福祉のあり方としての実践を模索するなど積極的に課題発見、解決に向けて取り組みを進めるとの報告があった。福島県は「自己への姿勢」をテーマに、よつば保育園・近藤眞紀子園長が「未曾有の東日本大震災・原発事故を乗り切る」と題して報告を行った。福島原発30q圏外に仮保育所を開設し、22名の園児の居場所を守っている。以来現在まで、NPO法人の設立や保育所4カ所を運営し、子ども達の将来のためにがんばっている。「自己への姿勢」として、あらゆる災害にもめげず、自己信念を貫き、「子ども達を守る」姿勢はすばらしく、まさにディセントワークに挑戦していると感じた。
2日目は、第三者評価制度を通して、サービスの質を向上するというねらいで企画を行い、第三者評価を受審した4施設の会員が(就労支援B型、保育所、母子生活支援、児童養護施設)発表を行った。そして4人の発表に対するコメントを交えながら、岩手県社会的養護第三者評価等推進委員の坂口繁治氏が「福祉サービス第三者評価制度を活用したサービス向上策」と題して講義を行った。施設経営には理念・方針・目標などの関連性が必要となり、第三者評価の意義・意味、法制との関係や背景など、とてもわかりやすく説明した。特に、福祉サービスの質の向上について、理念を実現することとは、経営者・職員・利用者それぞれが満足することであり、それによって地域社会も満足すると指摘した。このことが、さらなる継続した安定した経営に向かっていくことに繋がると説明し、多くの参加者が頷いて納得していた。
(文責:秋田県福祉施設士会 会長 村上耕治)