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都道府県福祉施設士会活動報告

熊本県福祉施設士会セミナー開催報告

 熊本県福祉施設士会は、平成25年1月22日(火)に「平成24年度熊本県福祉施設士会セミナー」を熊本県総合福祉センター(熊本市)にて開催し、会員ならびに会員在籍施設職員等47名が参加した。当日は以下の2つの講義と講師を交えた交流会を実施した。

講演@ 「構成的グループエンカウンター方式による対人援助技術の体験学習」
 筑紫女学園大学人間科学部 教授 益満 孝一 氏

 昨今、年間3万人の自殺者をはじめ精神疾患受療率の増加、不登校児童・生徒数の増加、そして2008年の労働契約法施行による労働者の心身両面への安全配慮義務の明文化など様々な社会情勢から、心理カウンセリングの重要性が叫ばれている。同氏は、“構成的グループエンカウンター(以下、SGE)”の定義について、「まずエンカウンターとは、本音を表現し合い、それを互いに認め合う体験のことである。つまり、このエンカウンター体験をするために、グループを作って試行錯誤しながら自分や他者への気づきを深めさせてくれる“ふれあい”と“自己発見”の技法が、SGEである。」と述べられた。また、SGEのプログラムは、次の6つを満たすように準備される。@自己覚知(本音を知る)、A感情表現(本音を表現する)、B自己主張(本音を主張する)、C他者受容(他者の本音を受け入れる)、D信頼感(他者の行動の一貫性を信じる)、E役割遂行(他者との関わりを持つ)。すなわち、SGEがねらいとするものは、「1.本音と本音のふれあい体験を通して人間関係を改善する。」、「2.他者理解・自己理解を深め、集団の教育力で新しい気づきを得る。」、「3.人生を自ら再構築する人生態度を追求する自己啓発で人生を意識して選び取る。」の3つに集約されると述べられた。
 その後、参加者をグループ分けしSGEの体験学習を行った。参加者の方々は試行錯誤しながらも確かな手応えを感じ、有意義な講演となった。

講演A 「ジェノグラムの読み方」
 筑紫女学園大学人間科学部 教授 西原 尚之 氏

 ジェノグラムでは、自分の2代前の世代・祖父母から家族歴を追うことがポイントだと強調された。つまり、虐待を受けた子どもが自分の子どもを虐待する、アルコール依存の親を持つ子どもが自らもアルコール依存になる等の世代間連鎖が統計的に証明されていることを説明した。また、「虐待が生じた必然性、虐待をしてしまった親の悲しさや重さを私たちがどれほど感じ取れるかが、支援をする際の鍵となる。」と述べられた。

 以上のように両講師には、福祉現場で働く職員にとって非常に身近な問題を分かりやすくご説明いただき、参加者全員が最後まで講演に聞き入っていたのが印象的だった。セミナー閉会後には、会場近隣にて講師をまじえた交流会が開催され、参加者相互の親睦を深めるとともに、貴重な情報交換の場となった。

(文責 熊本県福祉施設士会会長 岡田 好清)