日本福祉施設士会

DSWIスクエア 平成26年度 2月号

北海道ブロックセミナー開催報告

平成26年11月10日(月)~11日(火)の二日間、札幌市・ホテル札幌ガーデンパレスにて、第55回北海道ブロックセミナーを開催した(参加者40 名)。当日の講義、実践報告、特別講演の内容を報告する。

【講義等概要】

講義 「新会計基準とこれからの社会福祉法人」
公認会計士・税理士 林 光行氏

林氏からは、公認会計士の視点から講義をいただいた。社会福祉法人の会計処理については、今まで多くの準則、指針、基準があり、バラバラであったものが、平成23 年の通知により全ての法人に共通する「新会計基準」に統一されたと説明があった。また林氏は、特徴の一つとして1年基準やリース会計等の企業会計の基準を採用したことをあげ、その背景には社会福祉法人への課税問題があると指摘された。それを踏まえて、社会福祉法人の存在意義をもっとアピールする必要がある、いわゆる「内部留保」があるからこそ社会貢献事業も可能であるとのことから、今後の社会福祉法人は、財務諸表だけの情報公開だけでなく、もっと広報活動を進めることも必要であると話された。

実践報告 「過疎の地域において、社会福祉法人として取り組んだこと」
社会福祉法人古平福祉会 副代表幹事 辻田 研也氏

実践報告は、福祉施設士行動原則の「<組織への姿勢>行動⑤ サービスと組織の改善を続ける」に即した内容であった。

33 年前に東京の生活クラブ生活協同組合連合が、知的障害者入所更生施設「共働の家」を開設した経緯から、後に社会福祉法人の設立、「れい明の里」として再編移行した取り組みについて話された。古平町においては人口減少と40%を超える高齢化率が大きな課題となっている。古平福祉会では地域(コミュニティ)再生を重要な課題として位置付けて、地域のニーズに対応し、連環(つながり)を重視している。法人の役割は、地域の中で障害の有無や程度、年齢・性別などに関わらず、福祉的なニーズが発生したときに、必要な支援(福祉サービス)を整え丁寧かつ確実に届けられるシステムとして、存在していくことであるとまとめた。

特別講演「ネバーギブアップ―あきらめないで―」
シロアムキリスト教会主任牧師 鈴木 啓之氏

鈴木牧師の半生は波乱に富んでいる。17歳で暴力団員となり、34 歳の時には、他の組から預かった大金を使い込んだことから仲間に命を狙われることとなった。たどり着いた東京の教会に飛び込み、そこで牧師に自分のすべてを話し、「誰でも人は変わることができる」と言われたことから、本当の自分と出会い変わらなければならないと気づき、劇的な回心の道を歩み始めた。その後、千葉県にシロアム教会を開拓し、刑務所の教誨師や薬物依存者のためのNPO 等多方面での活躍で知られるようになった。現在、札幌のススキノでも「人生やりなおし道場兼平成駆け込み寺」を開き、多くの道民の悩みに向き合いやり直しの助力を続けている。セミナーの最後をしめくくる、感動的な話をいただいた。

林氏からは、公認会計士の視点から講義をいただいた。社会福祉法人の会計処理については、今まで多くの準則、指針、基準があり、バラバラであったものが、平成23 年の通知により全ての法人に共通する「新会計基準」に統一されたと説明があった。また林氏は、特徴の一つとして1年基準やリース会計等の企業会計の基準を採用したことをあげ、その背景には社会福祉法人への課税問題があると指摘された。それを踏まえて、社会福祉法人の存在意義をもっとアピールする必要がある、いわゆる「内部留保」があるからこそ社会貢献事業も可能であるとのことから、今後の社会福祉法人は、財務諸表だけの情報公開だけでなく、もっと広報活動を進めることも必要であると話された。

(文責:北海道福祉施設士会事務局)

平成26年度中国・四国ブロックセミナー広島大会開催報告

平成26年12月3日(水)~4日(木)、ニューヒロデンホテル(広島市)にて「第30回中国・四国ブロックセミナー広島大会」を開催した。中国・四国ブロックの会員を中心に参加者は60 名となった。当日の講演の概要について報告する。

【講演概要】

講演 「防災気象情報とその利用 ~広島土砂災害から学ぶ~」
広島地方気象台防災業務課土砂災害気象官 西谷 秀男氏

会員諸氏の記憶に新しいことと思われるが、今回の開催県である広島県も8月には数十年に一度といわれる豪雨災害に見舞われた。地震や火災については日ごろから施設では訓練等をして備えていると思われるが、今後は、自然災害に対しても何らかの対応をしていかなければならない。そこで広島地方気象台より講師をお願いし、8月の災害の状況やこれからの備えについての講演をしていただいた。

西谷氏からは、広島県の地質は土砂災害にもろく、土砂災害危険個所も全国一位であること、いつどこで土砂災害が起きてもおかしくないことが説明された。自分たち(施設)が住んでいる場所がどんな災害に弱いのか、普段から調べておくことが大切であり、また大雨時には「自ら」情報を入手して早めの対応が必要となる。特に、「たぶん大丈夫だ」ではなく、「もしかしたら」という、安全第一の心構えが大切であると力説された。
以下の教訓が強く印象に残っている。

被災地 ⇔ 未災地
(今まで起こっていないだけ)
自然に対しては謙虚に!

講演 「今日の社会福祉問題~社会福祉事業、社会福祉法人、福祉人材確保を考える~」
川崎医療福祉大学特任教授 大田 晋氏

大田氏の講演では、社会福祉事業の特徴として、医療と同じように法律による「制度」と、それに基づき提供される専門職による「サービス」の二つの構成要素で成り立っていることが説明された。国民生活の安心に直結する分野であることから、「法令に基づくルール」および「行政による監視・連携」という厳格な枠組みが設定されている。

これはサービスに対する対価は公費により支払われるため、集金業務は無く、費用を取りはぐれること無い反面、国民から信頼を無くすと大きなしっぺ返しを受けるとも指摘があった。

また、施設長に対する期待についても話され、施設長として、福祉サービス以外のサービス分野を意識して、他の分野のこともしっかりと学ばなければならない。他の分野を知らなければ施設長として幼稚になってしまう。施設長(経営責任者)として、他の分野の方々ともしっかりと論じられるくらいの知識が必要となっていると厳しい指摘をいただいた。

講演で指摘されたことは、日本福祉施設士会が目指している“ 施設長像”に通じるものであり、いよいよ“ 福祉施設士”の必要性を認識した。

初日のセミナーを終え、参加者間の交流を図るために懇親会が開催され、会員相互の親睦が深められた。懇親会では次年度開催県の香川県から、香川県福祉施設士会の川口義道会長に挨拶をいただいた。

二日目は、会員の皆様の親睦と広島県をより知っていただくために、世界遺産である原爆ドーム(平和公園)、厳島神社(宮島)の視察研修を実施し、無事二日間のセミナーを終えることができた。

(文責:広島県福祉施設士会事務局)