今、なぜ福祉QC活動なのでしょうか?
利用者本位の「仕事」に徹するためであり、福祉の「しごと」を利用者サイドから見直し、仕組みと仕掛けを変化させていくためです。
本会では、「福祉QC活動」に関するご質問を受け付けております。
下記、注意事項をお読みいただき、ご質問やご要望などどんなことでもお問い合わせください。
【注意事項】
本サービスは会員および会員在籍施設職員に対するサービスとなっております。
問い合わせいただいた内容につきましては、回答とあわせて、【これまでのQ&A】として公開します。公開を希望されない方はその旨を必ず明記ください。
回答にお時間をいただく場合がございますのでご了承ください。
今、なぜ福祉QC活動なのでしょうか?
利用者本位の「仕事」に徹するためであり、福祉の「しごと」を利用者サイドから見直し、仕組みと仕掛けを変化させていくためです。
福祉QC活動をしなくても、職員は利用者のために働いていますが・・・。
確かに福祉施設にはいい加減に働いている職員は誰1人としていませんが、よく観察してみると、ムリ、ムダ、ムラがあります。福祉QC活動を導入すれば、提供しているサービスにどの位の費用がかかっているのか、どの位の効果を上げたかなどが明確に分かります。
福祉QC活動をしなくても、職員はサービスの質向上のために話し合っていますが・・・。
話し合いはよいことですが、ベテラン職員が体験的にものを言ったり、仕切ったりしていませんか。福祉QC活動では、データに基づき、何が問題でどこに改善点が潜んでいるか分析し、目標を定めて、計画的な改善プロセスを設定します。
QCサークル活動を行うことで、どのような効果がありますか?
職員のモラールを高める手法を確立することができます。自己満足に陥らない問題意識や仕事の質の向上に向けた改善意識を持った職員が多く育つ環境こそQCサークルの基盤となっています。
ISO 9001:2000を取得すれば、福祉QC活動は必要ないのですか?
ISO9001:2000にも改善が重要な要求事項に挙げられています。その改善をQCの手法・手順・考え方によって行うことができます。QC活動を導入するということは、管理者自らが率先して、全員が同じベクトルで目標に向かってスパイラルに向上していきます。つまり小集団として永久運動を始めるということです。
どうすれば福祉QC活動を導入できますか?
管理者の方がQCについて一度学習してください。日本福祉施設士会主催のQC入門講座を受講したり、QC活動を導入している施設で活動状況を見学することもよいと思います。管理者がQC導入宣言を行い、キックオフすることが何より大事なことです。
「福祉QCサークルの基本理念」を教えてください。
「福祉QCサークルの基本理念」
1、 利用者の人間性とその尊厳を尊重し、個々の願いや思いに応えたサービスや環境を提供できるよう、法人・施設の活性化と体質の改善に寄与する。
2、 人間性を尊重して、生きがいのある明るい職場をつくる。
3、 人間の能力を発揮し、無限の可能性を引き出す。
「福祉QC」全国推進委員会・1997年改定
QCサークルはどのようにテーマを選択し、活動を開始すればよいのでしょうか?
節約や物を大切にすること、工夫やアイデアを出し合うことなど、ごく身近なことに目を向けるだけでも多くのことに気付かされます。気付くことが最初の一歩ですが、気付いても話し合う場がなかったり、意見を聴く場がなかったら相乗効果はあがりません。QCサークルはメンバー同志が何でも自由に話し合う場でもあります。利用者のためなら何でも考える。そこからQCサークル活動が始まります。
QC手法を導入するために、具体的に何から手をつけたらいいのでしょうか?
まずしていただくことは、経営者にQCサークル活動がどのようなものかを理解していただくことです。それも、QCサークル活動の本質を理解していただくことです。でなければ、例えば、人材育成の面を無視してコスト面のみを追及するなど、QCサークル活動の正当な評価や支援活動ができませんから、QCサークル活動が挫折する心配があります。
QCサークル活動導入はどのように行えば成功しますか?
経営者にこれからどのような施設にしていくのかを明示していただく必要があります。経営者に理想の施設像もないのに、従業員だけが自主的なQCサークル活動を行っても、いい施設になるわけがありません。経営者が自分の理想の施設像を実現するために、従業員をQCサークル活動に巻き込んでいくというくらいの気迫をもち、その役割を果たせば、QCサークル活動の導入は間違いなく成功します。
経営者としてある程度勉強しましたが、従業員がまだやる気になりません。
これからが勝負です。推進組織を作って、一緒にやる同志を増やしていかなければなりません。最初は、できる限り管理職のポストにある職員から推進者とサークルリーダーを選んで教育をします。研修会への参加のほか、成功している施設や民間企業の推進者の話を聞き、自分たちの職場の現状とのギャップを体感することなどで、推進組織のメンバーに使命感を与え、自己変革を決意させる教育をします。理事長の命令だから仕方なく推進者をやっているというのでは、メンバーがついてくるはずがありません。次に必要なのは、QCの考え方と手法の教育、指導ノウハウの教育です。
QCの教育訓練はどこで受けることができますか?
日本福祉施設士会の福祉QC活動ガイドブック、研修会、発表大会のほか日本科学技術連盟、日本規格協会など各種の学習教材、研修会があります。
推進組織を作らずにQCサークル活動を行うことは可能ですか?
つまずかないためには必要です。全体計画、活動予算の確保、外部との連絡、メンバーが行き詰まった時のアドバイス、活動環境の整備など、調整役としてやることはたくさんあります。じっくり、やる気のある推進者を育ててください。
QCサークルを立ち上げたいと思っているのですが、具体的にどのようにすれば成功するでしょうか?
QCサークル活動は全社的活動ですから、全職員が一斉にはじめるのが理想ですが、職員数の少ない福祉施設では、最初から多くの人材を育成するのは難しいのが現状ではないでしょうか。ですから、最初はモデルサークルを作って、徐々にサークル数を増やしていく方法が一般的な方法になっています。運営しやすい1サークルの人数は5~6人が適当でしょう。最初のリーダーとメンバーは施設が決めてください。
QCサークルを立ち上げる際、サークルメンバー以外の職員の協力を得るためにはどのようにすればよいでしょう?
全社的な盛り上げと気持ちの区切りが大切です。そのためにはQCサークルの結成式をおこなう必要があります。まず経営者のキックオフ宣言に続いて、推進者とサークルリーダーの決意表明があり、サークル名とその由来、活動テーマの発表を行ってください。そうすることで、メンバーのやる気を高めるわけです。また、メンバー以外の職員にもQCサークル活動への関心を高める効果があります。雰囲気は厳粛に、かつ楽しくやることです。
QC活動によって、仕事を進めながら人材育成ができることは頭の中では理解しているのですが、現在の厳しい職員配置及び変則勤務の中でどのように進めれば良いのか分かりません。
理事長または施設長は、QC活動の導入を決定すれば、QC活動を推進しやすい環境を作ることも必要ですので、会合時間、場所の調整などに配慮してください。
また、QC活動を進め方に工夫をしてください。例えば、QCメンバーが一同に会す事は難しいことが多いため、活動計画の役割分担に示されている各自の役割に責任を持って進める。例えば、QC連絡ノートやポストカードなどを活用し、メンバー間の情報を密にし、会合回数をできる限り減らす工夫などが必要です。
仕事とQC活動は一体でなければならないと聞きますが、忙しい仕事の中でのQC活動は大変むずかしいのではないでしょうか?
QC活動は職場の改善運動です。その職場、施設により「改善」の内容は異なり、「このままで良い」「これがベストだ」という職場はないと思います。職場の環境は常に変化しており、また、福祉、介護という対人サービスにおいては特に環境の変化は激しいと言えるでしょう。QC活動は現場の問題点、課題点を良い方向に改善する運動です。日々の仕事を通じての取り組みと一体でQC活動を進めることになります。
データが上手に取れない時は、そこから先に進めず暗礁に乗り上げることがあり困っています。どのようにしたらよいのでしょうか?
QCストーリーの手順で進めてください。その中でも現状の把握は非常に大切なところです。把握がピンボケするとデータ収集に誤りが発生しますので、現状の把握に誤りがないか確認することが大切です。
QCメンバー間で役割分担をしても、どうしてもQCの力量に差があり、リーダー、サブリーダーに頼りがちになるのですが、どのようにレベルアップを図れば良いのでしょうか?
誰もが初めからQCの知識をもっていることはありませんから、職場単位またはサークル単位でQC活動を推進しながらQC技法等の知識を習得していくことが大切です。
教える者も、教わる者も、共に学び合いながら職場での仲間づくりを推進してください。
メンバーの中に、途中から「やる気」をなくし、QCメンバーの士気を乱しかねない人もいるのですが、どのようにしたら「やる気」を起こす事ができるのでしょうか?
施設にQCを導入する意義や必要性を理解したメンバーを前提にしてお答えします。まずはそのメンバーの話をよく聞いてみてください。意外と活動に対しての不満があったり、誤解があったりするものです。特に、変則勤務で不慣れなメンバーに対しては、リーダーは常に声掛けをし、孤独になりがちなメンバーにアドバイスをすることを心掛けてください。職場における明るい仲間づくりを実践してください。
テーマとは違った方向に進んでいくことがあるのですが、どのような点に注意をすれば良いのでしょうか?
まず、メンバー全員で選定したテーマに対する問題点の現状をしっかりと把握することが大切です。さらに、要因の解析において明確にした問題点の原因をしっかり抑え、その原因を解決するための対策案を練り出すために、特性要因図を作成します。特性要因図では特性である「要因」をしっかり整理しながら進めることが必要です。
QCサークル活動に取り組む中で、ミーティング(会議・会合)が重要といわれますが、それはなぜでしょうか?
ミーティングとはQCサークル活動の中で、リーダーやメンバー等関係する人々が集まり、いろいろな意見や情報を交換し、メンバー全員で共通の理解を得ながら活動テーマを決めたり、テーマの解決方法やサークル活動のすすめ方などについて話し合い、実行に移していくためのものです。メンバー全員で知恵を寄せ合い、より良い決定をするためには、ミーティングは大変重要です。
ミーティングを上手に進めるためには、どのような準備をして、どのような手順で進めていけば良いでしょうか?
効率よくミーティングを進めるためには、事前の準備が非常に重要です。
・ ミーティングの目的及びテーマなどがメンバー全員に周知徹底されているか。
・ メンバーが参加しやすい日時に設定されているか。場所が確保されているか。
・ 資料の準備及び進行の準備は出来ているか。
・ ミーティングの記録を残せるようになっているか。
・ 欠席者への配慮がなされているか。
等々が挙げられます。
また、ミーティングの進め方(手順)のポイントは次のような通りです。
・ ミーティングの目的、テーマをメンバー全員が理解しているか。
・ リーダーは、メンバーから活発に意見が出るように配慮しているか。
・ ミーティングのしめくくりは、リーダーが発言のあった意見をまとめて結論を出す。また、ミーティングの内容や結論等を記録に(評価・反省を含む)残す。
以上の事柄に配慮して、実りのあるミーティングにして下さい。
毎日の業務が忙しく、ミーティングの時間が取れないのですが、なにか方法はありませんか?
福祉の現場は大変忙しく、ミーティングの時間が取れないという悩みは良く理解できます。忙しい職場だからこそ、福祉QCサークル活動に取り組む必要性があります。ミーティングの時間は、与えられるものでなく、自分達で作り出す心構えで工夫することが肝要です。
例えば、業務と業務の間の支障のない時間帯や業務の初めと終わりの時間、メンバー間で連絡帳を作って申し送りをするなど、どんな職場でもそれぞれ工夫をすれば、時間は取れるものです。
ミーティングにかける時間はどのくらいが良いのでしょうか?
ミーティングは、その目的や内容等により場所・時間の工夫をすることが、メンバーの知恵の出し所でもあります。ミーティングの時間は短くして数多く持ち、メンバーが常に同じレベルで活動ができるよう、工夫することが大事です。
活発なミーティングにするためには、どのようなところに留意したら良いでしょうか?
ミーティングを活性化していくことは、大変重要なことです。それには、メンバー全員で次のようなことに留意して進めて下さい。
・ 話しやすい雰囲気づくりに努める。相手との共通語(年齢で差?)を使うのも必要。
・ 相手の発言を認め、自分の考えを押し付けない。
・ 全員で同じ体験をしてみる。
・ ミーティングは視覚に訴えるのも効果的。グラフ等の資料を準備するのも良い。
ブレーンストーミングがミーティングには大変有効な手法と聞きますが、どのようなものか教えて下さい。
ブレーンストーミング法は、1939年アレックス・F・オズボーンにより考え出されたものです。“一人でアイディアを考えるより、グループで考えた方がお互いが刺激し合って、より良いアイディアが生まれる”・“批判のない自由な環境で着想の力が最高に発揮される”という考え方がブレーンストーミングです。
ブレーンストーミングとは、ミーティングのメンバー全員が次の“4つの原則”を守って話し合いを行い、アイディアをどんどん出し合うものです。
《4つの原則》
I 批判禁止
・ 良い悪いの判断は禁止。批判されると、言いたいことも口に出せない。
II 自由奔放に
・ 奇抜なアイディアは自由な発想から生まれる。
III 量を求める
・ 量は質を生む。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。
IV 他人のアイディアに便乗
・ 1つのアイディアは別のアイディアを引き出す。他人のアイディアに便乗する。
QC活動における成果とは何ですか?
営業活動におけるルートセールス(既に取引実績のある企業への営業)では、一般的に月々の売上ノルマ、年間ノルマを設定します。その月のノルマの未達成者は、上司から叱責を受け、次の月以降に上乗せされ年間ノルマの追及を受けます。営業マンにとっては、数字を出すということが、一番の使命であり、時間と関係なく日夜、油断できない状態に置かれています。振り返ると、福祉業界は、数値目標の見えない業界であります。しかし、唯一、福祉QC活動は、その数値目標が見える活動です。ですから、営業活動と同じ様に計画で表した数値目標を達成することが「成果」です。
成果に対する評価はどうしたらよいですか?
職員に福祉QC活動を持続させる熱意を持たせることは、管理者の努力するところです。達成したといってただ単に人事考課に反映させたり、賞状を与えたりしても、全部の職員が真剣にQC活動に取り組むということはなりません。そこで、ちょっと工夫してみてはと、次のことを提案します。
数値目標を達成したグループがありましたら、事業所主催で「お祝い会」をしましょう。達成したグループ全員を主賓にして職員全員で、お祝いをするのです。達成したグループの職員は、達成の喜びと次に向かっていくステップへのエネルギー補給となり、「隣の芝生」と決め込んでいる職員には「活」を入れるきっかけとなり、管理者もこれだけQC活動を期待しているという意思表示にもなります。
QC活動の成果で、職員が「自己満足」に陥らない対策はありますか?
福祉QC活動の成果を社会に発表する機会として「福祉QC」全国発表大会が年1回東京で行なわれています。職場での成果を是非、発表させて下さい。
「井の中の蛙、大海を知らず」、職員が自己満足に陥らない為に管理者は、身銭を切ってでも、多くの職員を送ってください。事業所の将来の為です。そこで職員は、講評者の方から多くの指摘事項を貰います。また、他事業所の発表を聞くことにより、違った角度からの検証も必要だということを学び、多くのお土産を持って事業所に帰ってきます。
福祉QC活動の中で管理者が期待するものは何ですか?
QCサークル活動は、ご存知の様に職場における業務改善が主目的です。職員が法人の理念に基づき管理者と共に解決すべき課題を明確にして、活動期間を定め、数値目標を達成し、新たな課題に挑戦するというシステムです。又、一方では顧客満足度を高める事も求められます。職員が業務改善をしなければならない、という使命感が先に立って職場が殺気立ち、利用者が不安な表情を見せるのでは「何をか、言わんや」です。管理者が一番期待するものは、次代を担うリーダーがQC活動の中で生れるかです。QCサークル活動は小集団活動です。それぞれ個性の違う職員、時間的制約を受ける職員を、いかに束ねて調整して目的を達成するか、それには必ずリーダーになる職員を必要とします。そのリーダーは、職員の中から自発的に生ませるのではなく、必ず管理者が指名して下さい。次代を担う幹部を養成すると言うのは、息の長い仕事です。すなわち、自分の後継者を育てる機会を持つという点でも福祉QC活動は、大いに期待が持てます。
現状把握でいろいろなデータを採集していますが、うまく数値化できるデータがなくて行き詰っています。
企業QCの場合、コストや生産量等、比較的数値化しやすい要素が多くありますが、福祉の仕事は生産業ではなく、対人援助サービスということもあって、数値化が難しいところがあります。
しかし、現状把握のデータはできるだけ数値化することが必要です。なぜなら、この数値化したデータが「目標設定」や「効果の確認」等、QC活動の成果を表す指標になるからです。現状把握のデータの採り方がQCストーリー全体の流れを左右するといっても過言ではありません。数値化できるデータを見つけるだけでなく、数値化する工夫も必要です。
数値化にはどのような方法がありますか?
特養入所者の皮膚荒れの改善に取り組んだサークルの数値化を一例紹介しましょう。
下の図は、デジタルカメラで撮影した入所者Aさんの皮膚状態の画像です。この状態を数値化する方法として、画像全体を方眼状に細分化して、皮膚状態の悪さ加減を「×」…2点、「△」…1点と数値化したものです。ここでは悪さ加減のポイントが302点となっています。
最近は、パソコンやデジタルカメラ等の機器が「福祉QC」活動の発表の場で活用されるようになりましたが、このようにデータの数値化で活用してみるのも1つの方法でしょう。
ただし、このような場合、画像の大きさや撮影方法は「効果の確認」時と合わせなければなりません。
QC活動終了後、しばらく期間が経ってから対策前の元の状態に戻ってしまいました。 どのようにすれば、QCの効果が持続するのでしょうか?
「歯止め」はどのように設定しましたか?
QC活動の効果を継続するためには「歯止め」がポイントになります。ありがちなのが「対策立案」をそのまま「歯止め」に持ってきてしまうことです。これでは元の状態に戻ってしまいがちです。あくまで対策立案はQCの活動期間に暫定的に設定されたもので、標準的な業務ではありません。
「歯止め」は効果のあった対策立案を標準の業務化するための大切なステップです。また、業務として標準化する上では、職場全体に関わることですので、サークルメンバーだけでなく、上司や管理者と相談することも大切です。歯止めを含んだ業務のマニュアル化など工夫してみて下さい。
しかし、現場の状況は刻一刻と変化していきます。そのため、QC活動時点から標準化した業務が適応しなくなる場合があります。例えば、ケアプランの実施後にモニタリング(評価)を行うように、P(計画)→D(実施)→C(確認)→A(処置)サイクルのサービス管理を継続的に行う必要があります。だからこそ常日頃からQCサークル活動が大切なのです。
ユニットケアの施設でQCサークルを始めようと考えていますが、進め方や効果が期待できるかがか不安です。ユニットケアにおいてもQCサークル活動は必要でしょうか?
ユニットケアにおいては、各ユニットに職員が分散で配置されており、元々、小集団活動を行う土壌が備わっているのではないかと思います。しかし、ユニットでサークルを編成した場合、ローテーションによりメンバーが集まりにくい環境にあると思います。話し合いの前にテーマを決めておき、話し合いに参加出来ないメンバーの意見や提案を予め文書等で伝言してもらう等工夫が必要です。誰かが仲間外れのようにならないよう気をつけて下さい。
ユニットケアでは職員が各ユニットに分散することによって、「自分で考えて動く」ことのできる職員が求められます。QCサークル活動を通じて、ユニット職員1人1人が意見や提案をすることが、結果的に人材育成に繋がっていくと思います。また、小集団活動を通じて、ユニット全体の団結力が強くなってくるといった波及効果も期待できます。そして、QCサークル活動の中から各ユニットのサービスのオリジナリティが生まれ、それをユニット相互で情報を共有することにより、施設全体のサービス向上につながっていくことになると思います。
施設全体に効果を波及するためには施設内のQC発表会等を開催してみてはどうでしょうか。各ユニットがバラバラで活動して終わるようではいけません。「福祉QC」活動開始時に施設長等の管理者が経営方針や重点施策を打ち出すことが必要です。それに基づいて各ユニットのQC活動を行い、その成果を全体で共有して施設の総合力を高めていくといったようにTQM(Total Quality Management)を意識した取り組みがユニットケアでは特に必要であろうと思います。
まだまだ過渡期のユニットケアです。QCサークル活動を通じて、個別ケアの追及等ユニットケアの進化に繋がれば大変喜ばしいことです。
最近「e-QCC」という言葉を聞きますが、どういう意味なのでしょうか?
e=evolution(進化)の略です。
「e-QCC」とは「進化したQCサークル活動」と理解してください。
「e-QCC」の中身について教えてください。
近年、職場や組織がおかれている環境が大きく変化するにつれて、これらに適した新しいスタイルの組織マネジメントが強く求められるようになってきました。QCサークル本部は2002年からこのようなニーズに対応し、活動推進の困難な状況を克服するためにQCサークルの構造改革を推進してきました。この中核となっているのが次に示す「e-QCC 2002」と呼ばれる3つのビジョンです。このビジョンに沿った活動を「e-QCC」と言い、活動の形や進め方を工夫して改善することです。
【「e-QCC」のビジョン】
1.業務一体の活動のなかで、自己実現をはかる活動
2.個の価値を高め、感動を共有する活動
3.形式にとらわれない、幅広い部門で活用される活動
どうして「e-QCC」が誕生したのですか?
QCサークル活動のなかで「e-QCC」が提唱されるようになった背景として、次の3つの変化があります。
これまでのQCサークル活動の効果 | 求められるQCサークル活動の効果 | |
1 | 個人の能力・職場のチームワーク向上、課題解決から業績貢献へつながる長期的効果が得られていた。 | 短期的な経営成果が問題にされ、経営者・管理者と一体となったスピード感のある確実な成果が求められる。 |
2 | 活動の成果が職場・組織のノウハウとして蓄積・活用されていた。 | 人やサービスの変化が激しく手順書、標準の改訂では効果が長続きしない。着実なノウハウの蓄積・活用が求められる。 |
3 | 単一あるいは同じ特性での活動展開で技術・技能の伝承が行われてきた。 | 社会の複雑化、多様化、スピード化への対応。QCサークル活動の本質を活かしながら、各々の職場に合った幅広い部門における活動が求められる。 |
「e-QCC」がこれまでのQCサークル活動と大きく違う点を教えてください。
「e-QCC」が今までと違う点は次のようになります。
これまでのQCサークル活動の効果 | e-QCC | |
1 | サークル任せの活動 | ・ CS向上や事故防止など「組織としての目標達成」をねらいに経営者、管理者が積極的関与する活動へ ・ 管理者のリーダーシップのもと、場合によってはテーマ解決活動にも参画するなど問題を顕在化させる |
2 | 現業部門に限定 | 苦情や事故・ヒヤリハット情報などで顧客と直接接する管理部門も含め全社的な幅広い活動へ |
3 | 本来業務とは別の付帯的活動 | 改善テーマの内容に応じて管理者が自らが率先して職場の重要課題・問題へ優先的に取り組む活動へ |
4 | 固定したサークル編成 | ・ 職種を横断してテーマに応じた柔軟な編成へ ・ 経営管理者や他職種からも強力なサポートが受けられる体制へ |
5 | ストーリーなど形式や手法にこだわる活動 | ・ 多様なスタイル、手法の採用を認める。 ・ フローチャートの利用などで整理することで解決できればそれも可。 ・ 得られたノウハウはトップが入った標準化委員会などで共有化をはかる |
これまでのQCサークル活動でうまくいってるのですが、「e-QCC」に取り組む必要性はありますか?
これまでの活動で問題のないサークルや事業所はあえて取り組む必要はありません。そのまま継続してください。
現在、QC活動が不活発に陥っている職場やサークル、あるいは環境変化に対応して事業のあり方を大きく変えたいと考える事業所が取り組めばよいと思います。
要は、「e-QCC」のねらいは「QCサークルの基本」をベースに「全社・全部門が環境変化に対応し、柔軟でスピードある活動を実施する」ということです。
製造業でQC活動を経験した人が、「QCサークル活動は企業の利潤追求のためだけの道具であって、従業員の多くは反発していた」と言っていましたが?
高度経済成長の初期にQCで大変成功した企業の事例が次々に世に紹介され、製造業ではQCでコストダウンができると評判になりました。それを目のあたりにした企業のトップたちが、どのように進めるかということ抜きで、闇雲に導入した時期があったようです。
結果としてコストダウンのみを目的として社員や下請けにQCサークル活動を強制し、悪印象を与えた工場も少なからず発生したと言われています。このあたりの状況は、日本規格協会発行の「ザ・カイゼン、濱川泰博著」にも触れられています。
また最高峰といわれるデミング賞目当ての、発表のためのやらせQCがはびこり、サークル員やリーダーの主体性を無視したり、やる気をそいだということも聞いています。
QCを導入している病院でもQC活動に反対するような声が聞かれますが?
QCは1990年代にホテルや病院でも導入され始めています。そして十分な導入意義の検討がなされないまま単にトップダウンで導入したり、良い推進者や助言者を得られないと、目的を見失い小集団自体が自壊作用を起こすのはどこも同じです。
特に病院では、その多くが業務独占の免許を持つ専門家集団です。専門家ですから小集団で仕事をしているとは言いながら、それぞれの属人的なスキルが身上の世界です。本来専門家ほどいわゆるPDCA(Plan計画、Do実行、Check確認、Action処置).の世界にいる人たちですから、その程度のことはできているなど、むしろ必要を感じていないことも多いようです。
成功している事例を見ますと、事業所全体で患者さんのQOLとはなにかや、リスクマネジメント上での一定目標がしっかり捉まれているなど、目的が明確なことです。
なぜQC活動に対する悪評が出てくるのでしょうか?
様々な要因が考えられます。まず失敗した事例の多くは、課題である業務の改善、すなわちサービスの質の向上の為にどのような挑戦をするのかの共通認識を怠り、結果として導入の意義・目的を事業所内で周知できなかったのではないでしょうか。トップダウンで導入することはよくありますが、導入したトップにはその必要性の徹底と諸条件を整える義務があります。その条件は出版物「福祉QCガイドブック」に整理されています。特に小集団での活動時間の確保と上司等による様々な協力は、業務の性質上相当の工夫が必要でしょう。
福祉事業に関係する事業所は多種多彩です。組織の文化といえるものがそれぞれにあってしかるべきです。管理者の主導で、そのうえで「サービスの質」の定義について価値観も含め従事者全員、少なくとも幹部全員でデスカッションした結論で導入するか、そして継続するべきかを定期的に行うことが成功への王道です。「福祉QC」といえども万能の道具ではありません。道具も投入の時期や使い方で大変な効果があったり、逆に害にもなります。
「福祉QC」の導入は大変ですか?
何か便利なものは無いかとお探しでしょうね。「福祉QC」は大変便利な道具です。でもそれだけに単なるコストダウンのためなど近視眼的に安易な使い方は不可です。
「福祉QC」=小集団活動はそもそも人を育てるということが本線ですから、実施する事業所ではそれなりの時間と仕掛けが必要です。そして従事者の小集団での主体的な活動であることを、当事者も管理者も理解し十分な相互協力体制が必要です。人を育てることは大事業ですし時間もコストも覚悟しなければなりません。しかし現在の福祉事業において、人を育てなければ空虚な事業となり果てましょう。
「福祉QC」活動の導入に成功し、よい活動を行っている施設を見学したいのですが・・・
成果の上がっている福祉施設の見学も無益と言い得ませんが、活動そのものは日常業務のなかでの地味なものです。目で見たり、体験しようとすると最低4~5ヶ月必要です。しかもそれぞれの事業所の大事なノウハウです。そこで毎年開催されている全国発表大会や各法人やブロックでの各事業所・サークルの成果発表をまず見られることをお勧めしています。
全国発表大会や各所発表会での成績付けについて主催者への不満を聞きますが?
本来の発表会の意義は、QCの目指す一つ「なにを、どれだけ、いつまでに」の納期の達成と成果を皆で確認し、祝うお祭りであって、競技会ではありません。
また体験発表そのものの評価は大変難しいものです。全国大会の評価基準は会場でも示しているとおりです。発表サークルの技術はなんとか見えますが、その活動成果がその職場に与えた有益性・有効性などQC特有の達成度合いは、実際にその場で体験しない審査員には発表での言葉や態度でしか感知できません。発表や手法の技術のみが良くても本当に目指す成果を挙げ得たのか、成果は上がらずともサークル員や利用者の満足度、今後への取組姿勢など評価項目の多面性、多様性など審査員の受ける印象はその真偽も含め大きく違います。強調しますが発表大会は順位を競うものでもありません。
「福祉QC」活動に関して、初心者にわかりやすい文献はありますか?
「QC」に関する文献は数多くありますが、「福祉QC」活動の入門書として分かりやすい書籍を紹介したいと思います。このたび、『「福祉QC」活動ガイドブック』(全国社会福祉協議会発行・定価1,400円)が改訂されました。この本は、日本福祉施設士会「福祉QC」全国推進委員会が中心となって、予備知識がなくても理解できるように配慮されており、導入の意義から「福祉QC」活動の進め方まで丁寧に解説しています。その他には、『QCサークル活動運営の基本』(日本科学技術連盟発行)などがあります。
「福祉QC」活動を行うことによって、「第三者評価」ではどのように評価されますか?
福祉QC」活動と「第三者評価」は、サービスの質の向上を目指した取り組みであるという意味において共通しています。しかし、「組織内部による活動」と「組織外からの働きかけ」という意味において、「福祉QC」活動と「第三者評価」には違いがあります。相違点の詳細については、『「福祉QC」活動ガイドブック』を参照してください。
ここでは、「第三者評価」において問われている内容を具体的に検討することにより、「福祉QC」活動の有益性を鑑みたいと思います。なお、具体的な第三者評価の例として、「東京都福祉サービス評価推進機構」が実施している「福祉サービス第三者評価」をもって説明します。「福祉サービス第三者評価」は、大きく分けて2つに分類されます。1つは「組織マネジメント分析シート」(平成16年度試行版では、経営者層用11枚、職員用11枚)、もう1つは「サービス分析シート」(平成16年度試行版では、特別養護老人ホーム用13枚)です。ここでは前者の、「組織マネジメント分析シート」を用います。このシートは、第一に「リーダーシップと意思決定」という項目があり、その項目内3つの評価項目を抜粋すると下記の通りです。
1.事業所が目指している目的・目標をはっきりとさせて、関係者にそれを周知しているか。
2.経営層の発言や行動は、事業所の目指している目的・目標の実現に向けて職員や協力者が一丸となることにつながっているか。
3.事業所をより良くするための課題やテーマを設定しているか?
第二には、「向上課題の設定と取り組み」が挙げられています。ここでは、その項目内3つの評価項目を抜粋すると下記の通りです。
1.テーマに基づき、事業所がより良くなるための取り組みを行っているか。(日々の活動の中で、日常業務の改善点を見つける方法を整えているか?など)
2.職員の質の向上に向けた体制が確立されているか?
3.職員一人一人の主体的な判断・行動と組織力により創意工夫をしているか。(職員から改善への気づきや提案が出やすい仕組みを整えているか? など)
これら抜粋した6つの評価項目は、まさに「福祉QC」活動の本質を含むものといえます。このように、「福祉QC」活動を導入していれば、第三者評価では標準を上回る評価が得られるといえます。「東京都福祉サービス評価推進機構」が実施している「福祉サービス第三者評価」について詳しいことは、『東京都の「福祉サービス第三者評価」について知りたい』の中で解説されていますので、ご興味のある方はご参照ください。
目標設定について注意すべきことはありますか?
目標設定において大切なことは、できるだけ達成可能な数値を目標とすることです。具体的に目標値を設定することにより、その目標に向かって施設職員が一丸となって取り組み、目標を達成することにより、達成感が生じ、職員間での会合から新しい人間関係が構築され、楽しく働ける雰囲気になり、生き生きとした職場が生まれることになります。苦労すればするほど達成したときの充実感は大きいと思われます。
具体例として、
『○○の時間を20%減にする。』
『○○の発生率を10%減にする。』
『○○総合計点を20%増にする。』
『○○の平均値を30%増にする。』
『○○の楽しさ度を20%増にする。』
『○○の使用コストを20%減にする。』
『○○の評価点数の総数を現状の○○点から○○点にする。』
『○○の参加率を20%アップする。』
『○○の不良数を20%減の○○件以下にする。』
などが考えられます。
目標管理の重要性は、「福祉サービス第三者評価」の中の「リーダーシップと意思決定」や「向上課題の設定と取り組み」の内容を見てもわかるとおりです。
活動をQCストーリーの手順で進めるにあたり、1番目の手順である「テーマの選定」をどのように行えばよいですか?
QCサークル活動は、今現在職場で発生している問題点、改善点を求める事柄を日頃の仕事を通して、同じ疑問を持つ職員がサークルをつくり、サービスを受けられる利用者の方々に「喜ばれる」職場の改善運動です。
各々職場により、厳しい施設環境は違うと思いますが、事業計画に掲げた「やらなければならない決定事項」であるとか「各々アンケートによる要望事項又は第三者評価を前提にした職場の問題点、解決しなければならない点」等々、職場(現場)には、様々な「やらなければならない案件」・「未だに出来ていない案件」・「上司に課題点を指摘された案件」等、テーマに掲げられるものは多数あると思います。
これらを一つ一つテーマとして取り上げ、優先順位を決め利用者の皆様が満足のいくサービス提供が出来るように「喜びづくり」の波紋をQCサークル活動を通じて実践して頂きたいと思います。
管理職側からすると活動テーマが改善の名の元で、職員の都合の良いテーマになり、安易な人員配置の増加要請や介護機器の購入等の結論になったりすることもあり、改善活動とは別な方向へ進むことが心配です。 テーマの選定について、どの様にアドバイスすれば良いか教えて下さい。
QCサークル活動は、法人・施設の事業方針のもとで展開することが大前提にあります。
テーマの選定は、職場での問題・課題点を解決する、または出来ていない事柄を改善し、利用者の方々等に「喜ばれる」ために「今何を改善すべきか」を考えてアドバイスをお勧めします。
さらに大切なことは、QCサークル活動は「自責の展開」であり、「他責の展開」ではありません。問題解決を自分達(当事者)以外に安易に他人(外部)にその解決をもとめることは、常に職員が問題点から逃げ出しているのではないかを悟らせることも必要だと思います。福祉QCサークル活動は「人づくり」・「人を育てる」とも言われている由来の一つになっております。
まず職場内で、問題・課題点を確認し職場としてやらなければならないテーマを選定できる様にアドバイスをお勧めします。
QCサークル活動はどうしても、時間外になってしまう事が大半だと思いますが、どの様に時間を設定すれば良いのか教えて下さい。
このQC活動の時間の創り方に関する問題は古くて新しい永遠の問題とも言えます。
結論からお話しさせていただくならば、経営管理者がQCサークル活動という「職場改善運動」をどのように法人・施設が位置づけているかにかかっています。
法人が「福祉QC」を施設あげて総合的に福祉サービスの改善運動として宣言するのか否かです。今日の施設環境ではサービス残業は認められません。QC活動は自主的活動だから時間外に大半の活動はやむおえないという考え方。また、改善運動として宣言した法人・施設は業務として位置づけているのだから許される範囲内の残業手当を出すという考え方。どちらの考え方を選択するかは経営管理者だと思います。
また、職員にとって言えることは、このQC手法を自分のものとして取得した時は、苦境の克服、問題・課題の解決策、創意工夫、リーダーシップ、上司の信頼等々、今後の活躍に期待が持て評価が高くなること、さらに、今後一般化されるだろう人事考課に非常にプラスになること等、自分自身を高揚させ成長へと繋げるものになると思います。
どのような、職場環境にあろうと自分のスキルを高めることができると思いますので、自分のために「福祉QC」サークル活動を実践することをお勧めいたします。
施設で「福祉QC」活動を行い、毎回パソコンを使って特性要因図を書く時に、線を一本一本足して書くという大変な時間を要する作業をしています。QC活動をするにあたって、誰でも簡単に図面が作成できるQC活動用のソフトは発売されているのでしょうか?
わたくしどもが知りうる範囲では、日本科学技術研修所というところが出している「JUSE-StatWorks QC七つ道具編」というソフトがあります。詳細につきましては、日本科学技術研修所ホームページ内の製品情報(統計・品質関連 JUSE Communication on Web)をご覧下さい。「JUSE-StatWorks QC七つ道具編」の特性要因図については、製品情報のページ上部にある“製品一覧”を選択 ⇒ その中の“JUSE-StatWorks QC七つ道具編”を選択 ⇒ “〔詳細〕”を選択 ⇒ ページ中ほどの“解析機能一覧”を選択 ⇒ 機能の中から“特性要因図”を選択いただくとご確認することができます。他にもパレート図の作成等できるようです。
活動中は、一生懸命活動して、意識も高まり効果があがるのですが、終わると継続しなくなります。継続させるためにはどうのように考えればいいでしょうか?
「福祉QC」サークル活動は“サービスの質の向上と職員の能力の開発、明るくやりがいのある職場づくり”のために取り組む活動です。活動の意識や必要性をサークルメンバー全員で共有化して、日常の仕事の中で常に問題意識、品質意識、改善意識を持つことが大切です。そうすることによってメンバー1人ひとりが“より良いサービスの実践”に向けてモチベーションを高めることができます。
「福祉QC」活動は継続して実施して初めて効果・成果が上がることを意識していただき、自ら進んで「福祉QC」活動に取り組まれることを願います。
なぜ「福祉QC」全国発表大会をするのですか?
「福祉QC」サークル活動に取り組み法人・施設では、各サークルの活動成果を理事長、職員等に聴いてもらうために発表大会を定期的に実施しています。発表大会を行う理由は次の通りです。
<発表する人にとって>
1.活動成果を発表することによって、改善された事柄等を関係者全員で共有化して、サービスの提供や業務に努めるようにする。
2.発表することによって、活動成果が認められると、サークルメンバーが達成感や満足感を味わうと共に、さらなる改善活動への取り組みへの意欲を高める。
3.大勢の人前で話す能力を引き出す訓練になったり、活動を取りまとめる経験・能力向上になる。
<聴く人にとって>
1.活動や改善の仕方など良い点を学び、知識や視野の拡大になる。
2.質問等を通して、日ごろのサークル活動の悩みや問題点などが解決できる。
3.刺激を受けて、自分たちの意欲の向上が図られる。
以上のように、発表によって得られるものは、発表する人と聴く人の双方にあり、発表大会は、相互啓発の場であります。
これらは、全国発表大会においても同じことです。特に、全国で大変熱心に「福祉QC」サークル活動に取り組んでいるサークルや、種別を超えた各サークルの改善活動の発表、そして講評者のアドバイス等を聴くことは、発表する側にも聴く側にも、自分たちの技術や視野を広める絶好のチャンスでもあるわけです。今後も「福祉QC」サークル活動の理解・普及等を願って、全国発表大会を開催いたしますので、多くの皆さんのご参加を願っております。
「福祉QC」活動を実際に導入、推進する際の具体策を教えてください。
まず「福祉QC」活動を導入、推進するための組織づくりが必要です。
全体の計画や運営を調整する組織として、推進本部とか推進事務局等を設置します。この責任者には、「福祉QC」活動に対するトップの強い熱意や期待を示すために、理事長や施設長が付くことが大切です。また、施設あげての改善活動であることを宣言することも忘れてはなりません。
その他、導入・推進に重要と思われるポイントを挙げますので参考にして下さい。
1.施設長は職員が「福祉QC」サークル活動を推進しやすいような条件を整備をすることが大切です。
2.サークルメンバーの人数は、5~7名位が最適です。
3.サークル内では、特定の人に役割が片寄らないように、一人ひとりが何らかの役割を担当し、積極的に活動に取り組むようにしましょう。
4.リーダーやメンバーがQC技法等を学習する機会をつくりましょう。
5.活動結果を全職員で共有するために発表大会を開催してください。発表大会は、「福祉QC」活動の最終目的ではなく、活動の中心は、あくまでもその過程にあることを忘れないようにしましょう。
なお、導入・推進の詳細については「福祉QC」活動ガイドブックVer.3 第3章「福祉QC」活動導入の実際に詳しく紹介されておりますのでご参照下さい。
サークル活動でのリーダーの心得を教えてください。
リーダーはどうあるべきか、一概には述べられませんが、リーダーはサークルの要です。サークル活動が円滑に運ぶように、また、予期しない現象や結果が出た時、このリーダーについていけば間違いないと信頼されるリーダーでなければ、サークルメンバーはついてきません。ここでは、リーダーの心得5か条を挙げますので参考にしてください。
1.メンバーが発言しやすい雰囲気づくりに努め、理論や主観に固執しないこと。
2.メンバー1人ひとりを把握して、リードしていき、メンバーの納得なしには、事を進めないこと。
3.事実、データでものを言うこと。メンバーを納得させる最もよい道具は事実であり、データである。
4.情報をしまいこまないこと。リーダーには、サークル代表として多くの情報が入ります。これをしまいこむと、サークル内に不満が高まります。
5.目標達成に強い熱意を持ち、計画進行には先頭に立って、サークルをリードすること。
リーダーとしてメンバーに上手に注意するためのポイントを教えてください。
注意(叱る)することで、メンバーとの関係が悪化することを恐れて注意しないリーダーがいますが、これは周囲に悪い影響を与え、サークルメンバーの士気を低下させますので、的確に注意することが必要です。
そこで、そのポイントとして、次のようなことを挙げてみましたので参考にしてください。
1.メンバーの行動に対して注意するときは、相手の人格を傷つけるような言葉は避けること(注意する時の基本は、本人の成長のためであって、人格の非難ではありません)。
2.人前では注意しない。他人の面前で注意を受けると、人は恥ずかしさが先に立ち、注意された中味を聞いていなかったり、逆恨みがあったりします。
3.ひと呼吸おいて注意する。失敗や違反などの事実について、すぐ注意したくなりますが、相手の言い分も聞いて、ひと呼吸おいて冷静に注意するのも効果的です。
4.追い打ちをかけない。相手がすでに自分の非を充分に悟り反省している時は、強い注意は慎むこと。
5.最後には励ます。注意しても最後は助言や励ましの言葉を添えて、期待している旨を伝えること。
QC活動は、4か月ぐらいでもできるのでしょうか。
活動は、取り組むテーマや改善の内容等で、その期間は異なります。自分たちが取り組むテーマ(何を改善するのか)や改善の難易度を踏まえて、活動期間を決めると良いと思います。一般的には3~8か月程度で解決できそうなテーマを選ぶと良いと言われています。