日本福祉施設士会

DSWIスクエア 平成27年度 2月号

ブロック・都道府県福祉施設士会の活動報告

第26回 近畿ブロックセミナー兵庫大会 開催報告

平成27年10月23日(金)~24日(土)の2日間、第26回近畿ブロックセミナー兵庫大会をANAクラウンプラザ神戸(神戸市)で開催し、近畿2府4県から62 名の参加があった。セミナーの概要について報告する。

開会式では近畿ブロック長の杉本憲彦氏、兵庫県会長の舟橋博氏のあいさつの後、兵庫県健康福祉部福祉監の柏由紀夫氏、兵庫県社会福祉協議会会長の武田政義氏から祝辞をいただいた。その後、日本福祉施設士会高橋紘会長より情勢報告があり、日本施設福祉士会の現状、再構築に向けた課題提起などに触れた後、セミナー参加者はふせん紙を使った作業を行いながら認識を共有した。

講演Ⅰ「あきらめない心」

講師:パラリンピック水泳選手 野村真波氏

小学生の頃は活発で、勉強は大嫌いだったと野村氏は語った。母親が自分たち姉弟の病気や怪我のたびに病院を探す苦労を目の当たりにしたことから、母親を助けたいという思いから看護師をめざし、高校で准看護師の資格を取得した。ところが、正看護師を目指して専門学校で学んでいたときに、交通事故により右腕を切断する重傷を負う。今後の人生を絶望していた野村氏は、それでも周囲からの励ましを得て、義手をつけて看護師の道に再び進み始める決断をする。その後、看護師として神戸百年記念病院に就職を果たした。看護師として働き、また、リハビリとして取り組んだ水泳でパラリンピックをめざし、アジアパラリンピックでは、平泳ぎで2位に入賞したエピソードなどを話された。

初日夜の情報交換会では、神戸はジャズ発祥の地でもあり、ジャズの生演奏の流れる中、会員同士が日頃の仕事について情報を交換した。飛び入りで高橋会長のハーモニカ演奏もあり、会場は盛り上がるひとときとなった。

2日目は、各府県組織の活動報告に続いて、栗花落(くるり)忠彦氏(日本QC 研究会代表理事)から、QC 活動についての説明があった。QCとは何か、QC 活動によるメリットとして、職場のコミュニケーションの改善、組織の風通しが良くなるといった点を話した。QC 活動は組織管理のためだけではなく、職員の育成にも役立てるツールであることが再認識できた。

講演Ⅱ「 認知症予防と家族への支援
~早期発見・早期治療と家族への“元気づけ”~」

講師:認定NPO 法人認知症予防ネット神戸 理事長 伊藤米美氏

看護師、ケアマネジャーとして長年、高齢者の地域サポートに携わってきた経験をもつ伊藤氏は、2010(平成22)年にNPO法人認知症ネット神戸を設立し、啓発や相談活動等を実施している。講演では、認知症の種類、危険因子、年齢別の有病率などの現状と、発生原因、その症状と治療について話をされた。家族への支援では、地域の中での身近な支援が重要であり、地域全体で支える仕組みが必要であると話された。

2日間に渡り有意義な時間を持つことができた。次期開催県は和歌山県である。

(文責 兵庫県福祉施設士会事務局)

第56回 北海道福祉施設士会ブロックセミナー 開催報告

平成27年11月16日(月)~17日(火)、札幌市内のホテル札幌ガーデンパレスにおいて北海道福祉施設士会ブロックセミナーが開催され、北海道外からを含め38名が参加した。セミナーの概要について報告する。

基調報告:日本福祉施設士会副会長

村上耕治

村上副会長は、福祉施設士は種別を超えて横断的な立場から見ることのできる福祉施設長の専門資格であり、常に勉強をし、質を高めてほしいと呼びかけた。また、福祉施設長の役割は職場のマネジメントであり、具体例として「福祉QC」活動を推進できる雰囲気作りをしてほしいと説明した。そして、「福祉施設士行動原則~6つの姿勢と12 の行動原則」に基づいた現状分析とともに、事業活動の見える化の促進、財務分析をベースとした中長期計画の立案を訴えた。さらに、福祉施設長は次の時代の施設長、担い手を育てていく義務があるとした上で、会員の減少傾向にも触れ、施設長専門講座の受講勧奨を呼びかけた。

特別講演「新たな福祉課題・生活課題に応える社会福祉法人の責任と使命」

講師:フリーソーシャルワーカー 池田真紀氏

池田氏は、生活困窮者自立支援法の施行から、就労支援の重要性や自立相談支援事業の包括的・継続的な支援の必要性を説いた。また、子どもの貧困に関連して、学習支援や働く女性のケアについても触れ、子どもと女性の生きづらさを根本的に解決するための社会づくりの重要性を語った。池田氏は自身でも10月からススキノで試験的に総合相談の窓口を開き、支援の試みを始めていることについても紹介した。

講義「施設の質を向上するために~第三者評価の取り組みを通して~」

講師: 日本福祉施設士会東北ブロック長 村上耕治氏

村上氏は、第三者評価事業の意義、目的、法的位置づけについて説明し、サービスの質を向上するためのものであり、結果を公表することにより利用者の適切なサービス選択に資する情報提供となると説明した。参加者からは調査員の専門性、費用対効果など率直な質疑が出されていた。
「福祉QC 実践報告」社会福祉法人黒松内つくし園より以下3件の報告を行った。
①トイレットペーパーコスト削減、②ラジオ体操に参加しよう、③ペーパータオルの無駄をなくそう。
参加者には「福祉QC」実践報告を初めて聞いた人も多く、その意味でも貴重な経験であったと思われる。

(文責 北海道福祉施設士会会長 上坂 隆一)

第8回中国・四国ブロック福祉改善活動発表大会 開催報告

平成27年11月20日(金)、山口市内のYIC Studioにおいて中国・四国ブロック福祉改善活動発表大会が開催され、78 名が参加した。初となった山口県での開催について概要を報告する。

今回は、中国・四国ブロックから次表の通り8施設が参加した。外部での発表は初めてという施設から、全国発表大会への参加経験施設等様々であり、中には福祉施設長専門講座の受講者の発表参加もあった。

講評にあたった、株式会社エイド宮崎代表の大坪剛一氏からは、資料の作成の仕方や今後の活動方法などについてのきめ細かい助言があり、参加者からも、講評や他の発表を受けて、「活動の内容が日々の業務で感じている問題点と一致し、参考になりました。」「日頃の業務と異なった部分の取り組み等も知ることができ、大変興味深かった。」「どうしても施設内だけでは考え方が固定したり偏ったりするので、他サークルの方法を見ることができて良かった。」等の感想が寄せられた。

(文責 山口県福祉施設士会事務局)

発表施設一覧(発表順)

施設名(県名) テーマ
養護老人ホーム 寿海苑(山口県) 「あの…私…どうしたらいい…?」
~精神疾患のある方との関わり~
最優秀賞 障害者支援施設 とさ(高知県) ~人材育成視点の業務改善提案制度~
特別養護老人ホーム 瀬野川ホーム(広島県) 「はだおもい」PART2
~介護事故減少を実現させるための取り組み~
優秀賞 介護老人保健施設 ヌーベルさんがわ(香川県) 排泄におけるADLの向上を目指して
~可能性を現実に…~
みどり保育園(山口県) おもちゃをきれいに片付けよう
優秀賞 特別養護老人ホーム さくら荘(香川県) ストップ誤配
~衣類の誤配をなくそう~
養護老人ホーム ゆもと苑(山口県) 気持ち良く 買い物しよう
~見るは楽しみ、買うは楽しみ~