都道府県福祉施設士会活動報告
東海北陸ブロックセミナー(愛知大会)開催報告
平成26年度東海北陸ブロック福祉施設士セミナー開催報告
愛知県福祉施設士会は、2月4日(火)~5日(水)の2日間にわたり、愛知県社会福祉協議会にて「福祉施設士ってなんだろう」をテーマに、東海北陸ブロックセミナーを開催した(参加者22名)。
本セミナーでは、「福祉施設士とはどんな資格?」という、多くの資格取得者が疑問に思う内容に着目した。
1日目の基調報告では、「福祉施設士行動原則」の策定に尽力した後藤忠啓氏(日本福祉施設士会副会長)から、行動原則にかかるお話を伺った。その中で印象に残った内容は、「原理原則は、とても大事なことではあるが、このような会(セミナー)において、福祉の心を持つもの同士の交流が、一番大切ではないか」また、「ともに遊び語らうことが必要ではないか」とのお話が心に響いた。
福祉施設士会の創設期のメンバーにとって、福祉施設長の資格化という大きな期待と、組織をまとめるための「知識と学び」が重要であり、「生涯学習」というものが福祉施設士に不可欠であると理解していたが、後藤副会長のお話を伺って、福祉施設士会とは一施設の長としての孤独感や孤立感を埋めてくれる仲間づくりの場でもあると感じるようになった。
続いて、障碍者福祉の現状より、今課題となっている障碍者の人権について、手嶋雅史氏(椙山女学園大学准教授)が講義を行った。手嶋氏からは、現在の日本の後見制度は世界の同様の制度と異なり、被後見人自体の権利が認められてないことが課題であると指摘があった。つまり、被後見人である障碍者や、老人・児童本人の意思確認が今後大きな課題となってくるとのことがとても印象に残った。
障碍者分野における「総合支援法と権利条約の今後」という問題は、他の種別への影響は少ないだろうとたかをくくっていたが、講義が進むにつれこの問題は、障碍者や老人の成年後見人制度だけでなく、未成年後見人制度の問題、さらには法定代理人制度の問題に至るまでの大きな問題であり、今後、福祉施設として、施設入所者自身の意思確認をどのように行い、本人の意思を書面として残していく仕組みを作らなければならないとの命題を投げかけられていると痛感した。
そして、児童福祉の分野から、金井恵史氏(児童養護施設溢愛館・副施設長)より、「小規模ケアにおけるスーパーバイズ」について講義を行った。現在、福祉施設の現状は、施設の小規模化やユニット化が課題となっており、小規模化した施設をいかに運営していくかが重要となっている。その状況下、現場職員が精神的に疲弊しているとの報告を聞くことも多くなった。そこで、現場職員の育成を請け負うスーパーバイザーの役割と担当者の心構えを学んだ。今後、このような役割を担う職種は多くの分野で必要となると感じた。
2日目は、日本福祉士会が進めている福祉QCについて、中立次夫氏(日本福祉施設士会福祉QC全国推進委員)が講義を行い、福祉QCの「導入」「意義」「展開」「手法」を学ぶ機会となった。この講義により福祉QCが、単にサービスを管理するためのものでなく、職員の育成において大きな力を発揮できる手法の一つであることが理解できた。さまざまな物事を数値化し、顕在化することによって曖昧さをなくし、より具体的な解決法を見つけ出すサイクルやチームワークの大切さ、仲間意識の向上など職員育成に重要な役割を持つと感じた。
このように幅広いテーマについて多くのことを学ぶ機会を得られたことは、とても有意義であった。しかし、愛知県福祉施設士会会長である筆者が、もっと多くの参加者に参加していただけるための努力が足りなかったことに悔いが残った。
(文責:愛知県福祉施設士会 会長 金井牧仁)
日本福祉施設士会 関東甲信越静ブロック 改善(福祉QC) 活動 サークル個別指導講座
平成25年度(第8回)「福祉QC」実施報告
本講座は、改善手法の習得、活動の実施方法、発表用のパワーポイントの作成まで具体的事例を基に指導することで、問題解決能力、職場管理能力、チームワークだけでなく、パソコン技術をふくめた能力の向上をはかり、施設の活性化などの効果を期待している。
日本福祉施設士会は、改善活動の一つとして福祉QCを多元的に進めているが、この個別指導講座はそのテストケースとして、日本福祉施設士会事務局が担当して平成18年に開始し、その後、ブロックが直接担当して今年で8年目を迎えた。各会場別に専門の講師が担当し、QC活動を初歩から発表の方法まで計10回にわたり個別指導を行うことで、成果を発表する段階にまで育成することが可能となっている。
医療・福祉の防災に何が求められるのか
(大井千加子氏作成資料から抜粋)
1.期間及び講座指導内容
① 5月:管理者・メンバー導入講座(活動に必要な知識、手法の理解)
② 6月~1月:定期個別指導活動の実施(計8回)
改善活動が効果的に行われるように月1度、サークル毎に実践経験の豊富な講師による個別指導を行う。メンバーはその指導を施設に持ち帰り活動を進める。
③ 2月:発表会
活動のまとめ、発表会用のパワーポイント及び資料集用の印刷原稿作成し、活動の成果を発表する。
2.この講座の特長
サークルは任意の数名のメンバーで構成し、具体的なテーマを決めてワークショップ形式で進める。各施設ごとに講師を招いて指導を受けることで、割安な費用で受講できる。
受講料は、1サークル19万円、2サークル受講する場合は2サークル目から10%オフ。なお、非会員は21万円としている。
参加施設は、昨年度18施設であったが、今年度は24施設に増え、講習会会場も2か所増設した。
3.指導会場の一覧(都県別に以下10か所)
(1)埼玉県:愛泉苑3サークル
(2)東京都①:至誠第二保育園3サークル
(3)東京都②:至誠いしだ保育園3サークル
(4)東京都③:至誠大地の家2サークル
(5)東京都④:いなぎ苑1サークル
(6)東京都⑤:江東園3サークル
(7)東京都⑥:成育しせい保育園3サークル
(8)神奈川県:グリンサイド清盛1サークル
(9)山梨県:和泉子供館1サークル
(10)長野県:博仁会桜荘4サークル
2サークルの希望と会場提供施設があれば、他にも設定することが可能。
4.講師
一般財団法人日本科学連盟から推薦された講師陣
5.発表会について
発表会は、本年度の活動内容を受講サークルが発表体験し、その成果を共有し、各施設における今後の活動推進に資することを目的として開催した。
日 程: 平成26年2月25日(火)10:30~16:30
会 場: 公益財団法人総評会館 連合会館 会議室401、402、404
発表サークル: 平成25年度関東甲信越静ブロック「改善(福祉QC)活動 サークル個別指導講座」受講サークル(計24サークル)
県別では、埼玉県3サークル、山梨県1サークル、長野県4サークル、神奈川県1サークル、東京都15サークル
参加者: 発表者・施設職員88名、講師9名、係員8名 合計106名
進行プログラム
(1) 24サークルが8サークルずつ3会場に分かれて発表を行った。
(2) 発表の1サイクルは20分(発表:13分、質疑:2分、担当講師コメントならびに修了証書授与:3分、発表者入替:2分)。
(3) 自由に発表会場を移動し、希望の発表を聴講可とした。
(4) 発表終了後、一堂に会して交流会をおこなった。
【アンケート回答結果】(n=60)
1.問: QC活動について理解できましたか。
→はい59/いいえ0/無記入1
2.問: 1年間の活動についてのご感想をご記入ください
・他職種の職員と一緒に活動したので、協力し合って取り組みが進めやすかった。
・月一の個別指導が良かった。(他、同様の感想多数)
3.問: 本発表会のご感想、また、印象に残った発表がありましたらご記入ください。
・異業種の施設の取り組みも参考になった。
・日々の業務にとてもプラスになっているから、継続して行う事ができているのだと思った。
・QCで取り上げなかった問題点もQCと同じように分析し、解決につなげていきたいと思った。
・それぞれの施設特有のテーマを選んでいるが、参考になり、園内だけでなく家庭でも活用できると思った。(他、同様の意見や他業種の発表が参考になった。等多数)
4.問: 来年度(26年度)の受講予定をお聞かせください
→受講する11/検討中24/無記入24/受講しない1
(事務局及び問い合わせ先、文責:日本福祉施設士会・関東甲信越静ブロック長、東京都福祉施設士会 会長 高橋 紘)
〈DSWIスクエア/ブロックおよび都道府県福祉施設士会活動報告の募集について〉
会報「福祉施設士」では、ブロックおよび都道府県福祉施設士会活動報告の原稿を、以下の通り募集いたします。
研修会や会員交流会の開催報告、会員増加や組織活性化の取り組みに関する報告等、ブロックおよび都道府県福祉施設士会の活動について、ご報告ください。
文字数は1,200字(1頁相当)程度でお願いいたします。活動の様子がわかる写真も添付してください。
報告いただける場合は、事前に事務局までご連絡ください。原稿は刊行日の約4週間前(奇数月の20日頃)までの送付をお願いいたします。
[連絡先(事務局)]
日本福祉施設士会 事務局
〒100-8980 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル
社会福祉法人 全国社会福祉協議会 法人振興部内
Tel:03-3581-7819 Fax:03-3581-7928
E-mail:z-sisetusi@shakyo.or.jp