○日本福祉施設士会は、平成13(2001)年に、福祉施設長が日常行うべきマネジメントについて整理を行い、『施設長のための業務チェックリスト~あなたの意欲を高める149のチェックポイント~』として取りまとめ、利用者本位の福祉施設におけるサービスの質の向上に取り組んできました。
○本会発足当時と比べ、社会・経済状況の変化にともない社会福祉を取り巻く状況も大きく変化したことから、平成25(2013)年に、あらためて「福祉施設士」資格および「日本福祉施設士会」の目的を会員一人ひとりが再認識し、その自覚的な取り組みを促進するための指針となる「福祉施設士行動原則~6つの姿勢と12の行動~(以下、行動原則)」をとりまとめました。そして、福祉施設士がとるべき姿勢と行動を下記のとおり示しました。
「福祉施設士行動原則~ 6つの姿勢と12の行動~」
<「利用者や社会」に対して>
1、利用者への姿勢
行動①安全で良質なサービスを継続的かつ安定的に提供する
行動②利用者の権利を尊重した支援を展開する
2、社会への姿勢
行動③透明性を高め積極的な情報公開・提供を進める
行動④公益性に相応しい体制を整備し、効果的・効率的な組織運営を進める
<「経営・管理する法人・施設」に対して>
3、組織への姿勢
行動⑤サービスと組織の改善を続ける
行動⑥新たな課題に挑戦する
4、職員への姿勢
行動⑦福祉人材の育成に努める
行動⑧働きがいのもてる職場を作る
<「法人・施設がある地域」に対して>
5、地域への姿勢
行動⑨地域の福祉課題に積極的に取り組む
行動⑩関係機関と協力し地域を支える主たる役割を担う
<「管理者としての自身」に対して>
6、自己への姿勢
行動⑪学びを続けることで自己の成長をはかる
行動⑫実践を重ねることで信頼を積み上げる
○行動原則は、本会「倫理綱領」の福祉施設士に向けた4項目(①利用者の基本的人権を尊重し、国民福祉の向上に努める。②福祉施設運営の質的向上に努め、利用者中心の福祉サービス充実を図る。③地域福祉向上のため、積極的にその役割を果たす。④社会福祉における専門家としての自覚をもち、創造性と開拓性を発揮すべく自己の研鑽に励む)を基本としており、倫理綱領が定める基本的な姿勢に即して、それぞれ福祉施設士が利用者や社会等に向けて求められる行動を明示しています。
○平成28(2016年)、社会福祉法等が改正され、社会福祉法人は①ガバナンスの強化、②事業運営の透明性の向上、③財務規律の強化、④地域における公益的な取り組みの実施、など求められることとなりました。平成29(2017)年には、厚生労働省が「『地域共生社会』の実現に向けて(当面の改革工程)」を示し、地域共生社会を実現するための取り組みを開始しました。
○地域共生社会の実現に向けて、地域住民や地域の多様な主体がつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創るための施策が各地で進められています。
○全国社会福祉協議会は令和2(2020)年に「福祉ビジョン2020」を策定し、2040年を見据えつつ、福祉組織・関係者が主体的に取り組んでいくための羅針盤として、令和2年を始期として、当面、2030年までの横断的な取り組みの方向性を提起しました。同時期に、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、地域の生活課題はより一層深刻化し、福祉現場にもさまざまな課題や困難が生じています。
○こうしたなか、社会福祉法人の役割は拡大し、それにともなう福祉施設長の業務も増大することとなり、本会は令和4(2022)年に、福祉施設士が行動原則における6つの姿勢と12の行動を実践しやすくなるよう、施設長として押さえる65の具体的な実践ポイントをチェックリスト化しました。各「行動」・「実践のポイント」をより高めるため、『施設長のための業務チェックリスト』の該当・関連項目も示しています。
○実践のポイントは、エクセルで作成しています。65の実践ポイントには、チェックボックスを設け、実践している項目をチェックすることでその項目数が自動計算されるようにしています。
○最後に、本「施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)」をご参考としていただき、定期的なセルフチェックにより、福祉施設長業務の振り返りにお役立てください。また、福祉施設長として定期的に自らの業務のチェックを行うことによって、施設福祉のサービスの質的向上と地域共生社会の実現をめざして、日々の実践を積み重ねていただけましたら幸いです。